伊豆急行8000系の車椅子スペース

地方私鉄へ譲渡された元東急の車両の近況の記事を書いていて、伊豆急8000系の車椅子スペースについて気になりました。

東横時代は2号車下り方(デハ8200形)と7号車上り方(デハ8100形)のいずれも山側に設置されていましたが、そのうちデハ8100形の一部が譲渡されています[1]。多くの車はモハ8200形へ改造され、車椅子スペースを海側に移設して元の場所にはトイレが設置されていますが、それ以外の一部車両は車椅子スペースだった場所がどうなっているのか気になっていました。

具体的には、8104(東急8157)、8151(東急8155)、8154(東急8122)、8155(東急8126)、8156(東急8132)の5両が該当するのですが、残念ながら締切までに調査している余裕がなく、記事に含めることはできませんでした。

クモハ8150形は3連化改造にあたり、車椅子スペースを再び設置していますが、東急時代と異なる海側の設置となっています。

この件をTwitterでつぶやいた(Twitter)ところ、@yaguchi109(Twitter)さんが写真をアップしてくださいまして、クモハ8150形のうち3両については形態が判明しました。

跡地は座席や荷棚、固定化されていた側窓が復旧されて元通りにされているのですが、クモハ8151のみはよく見ると荷棚の形態が東急時代と異なります。

8000系、8500系の12次車までは、製造時は現在のSUSネットではなく塩ビ管だった関係で荷棚受けに穴が空けられているのですが、1~5次車は4つ、6~12次車は5つとなっています。11次車のモハ8151も5穴タイプだったことは東横時代に現車確認済みですが、車椅子スペース復旧部のみ4穴タイプにされているのです。

また、モハ8104については先日乗車することができまして、さらに面白い形態であることが判明しました。この車両は12-3次車として製造された元デハ8157で、伊豆急では唯一の軽量ステンレス車体。室内形態は次のような特徴があります。

  • 荷棚は12-2次車までとは異なり、端から2番目(現在は3番目)の受け具の位置が中央寄りになり、側窓に掛かる位置のため形状も変更された。さらに後年、端に近い部分に金網を分割しないタイプの受け具が増設されている。この雑然とした形態は12-3次車のみに見られる特異なもの。
  • 車端部の座席は、14次車までの軽量車で採用された「3.5人掛け」タイプ。
  • 座席の袖仕切りは2次車から採用されたタイプ[2]で、荷棚から下りてきた縦棒と、肘掛けに使える高さの横棒を組み合わせた簡素なタイプ。13次車からは形状が大幅に変更されたため、軽量量産車では12-1次車と12-3次車のみの採用であった。

一方、この車両の車椅子スペース復旧部は、「3人掛け座席(16次車以降用)」「2~12次車用の袖仕切り」「横目15列の蹴込板打抜穴(20次車以降や更新車等用)」「4穴の荷棚受け(2~5次車用)」など、導入年代がバラバラの部品によって組み合わさっており、さらに荷棚は復旧前と同じ長さに対して座席は3人掛けに短縮されたため、荷棚手前の握り棒の角部(袖仕切りの縦棒につながる部分)は直角処理とされています。

オリジナル画像
写真1モハ8104の車椅子スペースからの復旧部

もともと8000系グループの中でも変わり者だった12-3次車ですが、復旧部の一角はさらに変態的になってしまいましたね。

  • [1]デハ8200形や大井町線のデハ8100形は、伊豆急には譲渡されていません。
  • [2]1次車のタイプと似ていますが、横棒高さや縦棒底辺の処理に若干の違いがあります。