Twitter の画像の説明文は視覚障害者だけでなくすべてのユーザーのために入れよう
3月下旬、 Twitter の画像投稿時にスマホアプリから説明文を設定できるようになりました。
- より多くの方に画像をお届けするために(
blog.twitter.com
)
日本の公式ブログや各ニュースサイトの報道では、「視力が弱い方」「目の不自由なユーザー」というアピールが目立ちますが、この機能は視覚障害者のためだけに向けたものではありません。
外出先でスマホから画像をツイートする時、わざわざ説明文を入力するのは面倒でしょう。私も何度かやってみましたが、正直言ってかったるいです。ただ、「自分のフォロワーには視覚障害者はいないからまったく関係のない機能だ」とは思っていただきたくなく、この記事を書きます。
なぜ視覚障害者のためになるのか
画面を目で見ることが困難な人は、文字情報を音声で読み上げるソフトウェア(スクリーンリーダー)を活用することが多いようです。現状、画像データを自動解析する高度な機能はありませんから、これまでスクリーンリーダー利用者にはツイートに添付された画像がどんなものかは伝わりませんでした。
このたび追加された機能を活用すれば、スクリーンリーダーでは説明文が読み上げられるので、どんな画像なのかを伝えることが可能になります。
誰のための機能か
しかし、この説明文はスクリーンリーダー利用者のためだけのものではありません。音声で読み上げられる以外にも、こんなケースで役に立ちます。
- 画像が表示できない場合に、代わりにそのテキストが表示される
- 検索エンジンのロボットなど、コンピューターが画像の内容を判断しやすくなる(=マシンリーダブル)
たとえば、回線が混雑してなかなか画像が表示されない時にも、とりあえずテキストで情報を受け取ることが可能です。
- テキストと画像では、一般的にテキストのほうがずっと容量が小さい。
またコンピューターに優しいということは、将来的に画像検索の精度が高くなる可能性が考えられます。
私は今回の機能追加を「障害者のため」と呼ぶ風潮には違和感を覚えていまして、たとえば駅やビルのエレベーターは身体障害者だけではなく、足腰の弱い老人や荷物の多い人など、健常者も含めたすべての利用者にとって必要とされるものです。画像の説明文をテキスト情報として設定することもこれと同じで、視覚障害者だけでなくすべての閲覧者にとってメリットとなるのです。
- 実は英語版の公式ブログの記事(
blog.twitter.com
)では、タイトルからして for everyone とあるように、すべての人に対する機能という言い方がされていますが、なぜか日本の記事では障害者向けという印象を受ける書き方になってしまっています。
どのような説明を書けばいいのか
よく言われる例えが、「画像の内容を電話越しの相手に伝える感覚で」というものです。いくつか具体例を挙げます。
簡単な概要を説明するケース
たとえばこんなツイートをする時。
この時の説明文はこんな感じにすればよいでしょう。
(本文)カラオケに来たらなんかアニメのコラボ部屋だったw
(画像説明)部屋の壁とドアにふたりのアニメキャラが描かれている。テーブルもアニメの絵。
画像が表示されない環境ではこのように見えます。スクリーンリーダーでは、この画面内に見えている文字が上から順に読み上げられます。
詳細な説明を書くケース
一方、同じ画像でも状況によって説明文は変える必要があります。先のツイートは特段アニメファンでもない人に向けた例ですが、逆にその作品(この例では『まどか☆マギカ』)のコアなファンに向けて詳細な状況説明をしたい場合は、本文も変わってくるでしょうから、画像の説明もそれに応じてこんな文章にします。
(本文)ジャンカラの杏さやルームに来た。
(画像説明)部屋を入って左側の壁には叛逆第3弾キービジュアルのさやかと杏子の大型壁紙が貼ってあり、出入口ドアの窓にも同じイラストが縦長で貼られている。テーブルには叛逆の杏さやのカットが散りばめられている。
画像説明が不要なケース
詳細な説明は必要なく、単にどのコラボ部屋かが伝わればいいという場合はこんな感じです。
(本文)ジャンカラの杏さやルームに来た。
(画像説明)【入力しない】
画像の説明は常に入れなければならないものではなく、本文に伝えたい情報がすべて含まれている場合は省略しても構いません。もし本文を極力短くしたければ、以下のようにしても構いません。
(本文)ジャンカラ来た。
(画像説明)杏さやルーム
画像が見られる人は画像の内容から、画像が見られない人は説明文を読むことでどの部屋かは分かり、両者は同等の情報を受け取ることができます。
なお、
(本文)ジャンカラの杏さやルームに来た。
(画像説明)杏さやルーム
としてしまうと、情報が重複していることになり好ましくないです。本文に書いた内容を改めて説明する必要はありません。
まとめ
いくつかのパターンを紹介しましたが、最後に要点だけまとめます。
- 画像の説明は視覚障害者のためだけのものではなく、すべてのユーザーにとって必要なもの。
- 同じ画像でも、ツイートの内容によってどんな説明を書くべきかは変わってくる。
- 必ずしも説明が必要なわけではなく、省略すべきときは空にしてよい。
まあ、いちばん大切なのは難しく考え過ぎないことだと思います。 Twitter は気軽に情報発信ができたり、速報性という面でも優れたツールです。場合によっては一部の人に情報が伝わらないことを認識したうえで、心の中で「ごめんなさい」しながら説明を省略しても構わないと思います。
でも、余裕のある時はこういうことを考えながら、 for everyone に情報が伝わるように心がけてみるのもいいのではないでしょうか。