TVアニメ『かくしごと』放送版とパッケージ版の比較(1〜4話)
『かくしごと』の Blu-ray & DVD 第1巻が本日発売されました。
制作や収録も大変な状況だったであろうこのご時世の中、最終話まで予定どおり放送されただけでなく、作画も非常に安定しており、パッケージ化に際して修正が必要な箇所は少ないだろうと予想していましたが、実際に比較してみてもTV放送ならではの事情によるものを除けば、軽微な修正が各話片手で数えられる程度でした。
気付いた修正点を列挙します[1]。なお、タイムスタンプはDVD版基準です。
各話共通
エンディング
- 22m46s: 姫が駆けるカットが明るくなった。
- 22m53s: 姫が駆けるカットが明るくなった。
- 22m58s: 可久士が方向転換する足元アップのカットが明るくなった。
1号(2020年4月2日放送)
Aパート「かくしごと」
- 0m01s: 波のカットが明るくなった。
- 7m43s: 可久士が「姫〜」と叫びながら駆けるカットが明るくなった。
- 10m18s: 可久士がTシャツのキャラクターを描き直そうとするカットで、実際の姿(会社員Yシャツにサインペン)と漫画家のイメージ映像(Tシャツ姿にGペン)の切り替わり回数が増した。
Bパート「ねがいごと」
- 11m38s: 川で溺れている猫を助けるために可久士が投げたドーナツクッションが宙を舞うカットが明るくなった。また、ドーナツクッションの回転表現は、放送版では回転により生じるブレた表現を付けたイラストをそのままスライドさせていたのに対し、パッケージ版ではコマ毎に動きを変えるように変更され、回転していることが動画としてより分かりやすくなった。さらに集中線にも動きが付くようになった。
- 18m40s: 姫たちがマリオに追いかけられるカットが明るくなった。
- 18m50s: 可久士がマリオにドーナツクッションを投げつけるカットが明るくなった。
2号(2020年4月9日放送)
Aパート「ビーサンとB4」
- 7m43s: インド人シェフがサムズアップするカットが明るくなった。
Bパート「おかない かかない しあげない」
- 20m40s: 波のカットが明るくなった。
エンディング
- 22m04s: キャストクレジットの「公安A」が「公安」に変更。(本編に公安は2人登場したが、キャスト欄にはひとりしか表記されておらず、記号文字で区別する必要性が薄いためと思われる)
- 22m28s: スタッフクレジットに「2Dワークス 南條楊輔」が追加。
3号(2020年4月16日放送)
Aパート「やりくりサーカス」
- 3m12s: 羅砂にチェックを頼む阿藤勇馬の原稿に背景が追加。放送版はキャラクターと吹き出しのみだったが、これは作業前の状態と同じ、すなわち勇馬が何も作業をしていないと受け取れてしまう状況だった。
- 5m12s: 姫の瞳にハイライトが追加。
Bパート「漫画の実情と筋肉」
- 13m52s: 「漫筋」を思いついた直後の可久士のカットが明るくなった。
4号(2020年4月23日放送)
エンディング
- 22m04s: キャストクレジットの「女」が「女性」に、「編集A」が「編集」に変更。
このように、修正点の多くは明度を上げたものです。これはおそらく、動きの激しいカットを中心にTV放送に際して必要な処理が決められているため、パッケージ版発売にあたり明るく修正を施したというよりも、放送時に本来の仕上がりから暗くする処理を追加していたものではないかと思われます。
それ以外だと、瞳のハイライト追加やエンディングのクレジットなど、放送後に発覚した作業上のミスを修正したケースがほとんどです。
唯一性質が異なるのが、第1号Aパートで可久士がTシャツのキャラクターを描き直そうとするカットで、 PV や TVCM で放送前から何度も流れた印象的なカットということもあり、制作側もここだけは悪い部分を直すというよりも、そのままでも問題ないところより良い表現を目指すために修正したのではないかと推測されます。
さて、比較参考までにシャフト制作の『さよなら絶望先生』がどうだったか、第3期 第1話の例を下記に記します[2]。『かくしごと』と比べて明らかに修正数が多いことがお分かりでしょう。Bパートは2か所しか発見できていませんが、これはかなり少ない方で、他の話数も見るとAパートの量が『絶望先生』の一般的な変更量です。
『【懺・】さよなら絶望先生』1話
アバン(前巻までのあらすじ)
- 0m07s: 望が揺れるようになった。また、放送版ではあらすじの後半部分(望の左側に表示される部分)のみまとまった単位で文字が表示されていたが、パッケージ版では前半と同じく1文字ずつ表示されるように変更。
オープニング(林檎もぎれビーム!)
- 全面的に差し替えられた。
Aパート「落園への道」
- 4m33s: キャラクター(望と景)、背景(教室の壁)ともに描き直された。
- 5m10s: 「橋下(した)→橋本(もと)」が「橋下(した)→橋下(もと)」に修正され、ルビも小さくなった。
- 5m34s: 枠が小さくなった。
- 6m11s: キャラクター(望と看守)が描き直された。とくに看守は表情が影で分からなくなり、大きく印象が変わっている。
- 6m46s: 画面上下の黒帯がなくなり、16:9の画面比率になった。(パッケージ版ではここだけ比率が変わっており、編集上のミスと思われる)
- 6m50s: 望とまといが描き直された。
- 6m57s: 望とまといが描き直された。(6m50sと同じ変更)
- 7m21s: 晴美がジャンプする時、右側の木より奥を移動するように変更。
- 7m34s: 晴美にスカーフを追加。奈美のグローブの色が緑から青に変更。真夜の瞳の色が金から黒に修正。
- 7m36s: 看守のメガネのレンズの色が赤から白に変更。
- 7m38s〜7m48s: 動き回るキャラクターや背景にぶれるようなエフェクトがあったが、削除された。
- 7m50s: 真夜の瞳の色が金から黒に修正。
- 8m03s: 画面上下の黒帯がなくなった。(パッケージ版ではここだけ比率が変わっており、編集上のミスと思われる)
- 9m57s: 可符香の背景のコマが差し替え。
- 10m01s: 「オチない率(合格率)」の文字と枠がだんだん遠ざかってゆく効果が追加。
Bパート「春の郵便配達は二度ベルを鳴らす」
- 15m18s: 木の幹に隠れている女性の位置を修正。
- 15m28s: 千里のアップのカットで顔がゆらゆら動く効果が追加。
Cパート「晒しが丘」
- 18m05s: 部屋を舞うパンフレットと背景が描き直された。とくにパンフレットがリアルになった変化が目立つ。
- 18m23s: 望の着物の柄を修正。
- 21m03s: バスに乗車するカエレの肌が黒くなり、髪や服、帽子も暗くなった。
- 21m05s: 「つづく」の文字が明朝体に変更。
エンディング(絶望レストラン)
- 21m09s: キャストクレジットで霧の位置が末尾に変更。
- 21m09s〜22m23s: クレジットの行間を拡大。【放送版2話で修正】
- 21m13s: キャストクレジットに晴美、あびる、愛、影郎が追加、霧、時田が削除(放送版では前カットも含めて霧が2回表示されており、時田は1話未登場)、麻菜実の位置を変更。
- 21m25s: 千里の掛け布団が2重になっており、掛け布団の間に潜り込む形になっていたのを修正。【放送版2話で修正】
- 21m26s: 「春の郵便配達は二度ベルを鳴らす」のスタッフクレジットの表示位置を下方に移動。
- 21m32s: 「動画」の会社にDEXSを追加。
- 21m34s: 晴美が紙くずを放り投げる動作は放送版2話で早くなっていたが、パッケージ版ではさらに早くなり、紙くずが床に落ちきるところまで描かれるようになった。また、放送版では紙くずが枠外に飛び出していたところ、パッケージ版ではその部分が見えなくなった。
- 21m35s: マリアの友人がマリアを叩く動作は放送版2話で早くなっており、鼻ちょうちんを割るところまで描かれるようになっていたが、パッケージ版でさらに早くなった。
- 21m55s: 准が読んでいる本のページをめくる動きが追加。
- 21m56s: 影郎のコップから飲み物がこぼれる時、ピントがずれる効果が追加。また、背景の紫色が濃くなり、黒色の枠が消滅。
- 22m03s: 「エンディングアニメーション」に「日記 新谷良子」が追加。【放送版2話で修正】
- 22m06s: 被写体深度が浅くなり、背景がぼけるようになった。
- 22m09s: 可符香の目が暗くなった。
- 22m16s: 「SPECIAL THANKS」が「久米田康治とクメタプロダクション」から「久本康、米田治、クメタプロダクション、MAEDAX Roman、弔藹明、リボン」に変更。【放送版2話で修正】
Dパート(絶望先生えかきうた)
- 22m39s: 「作詞 久本 夏 作詞 久本 夏」から「作詞 久本 康 作曲 久本 康」へ変更。また、背景の植物や道路の色が明るくなった。