季刊エス2020年10月号で『かくしごと』原作者インタビュー掲載

本日発売された、季刊エス2020年10月号に久米田先生の『かくしごと』のインタビュー記事が掲載されました。

季刊エスに久米田先生のインタビューが載るのは『かくしごと』連載開始初期の2016年10月号(Amazon) 以来ですが、今回は連載終了後ということで最終話やTVアニメも含めての話が行われています。

個人的に気になったのはこんなところ。

現在の執筆機材
iPad + MediBang Paint(medibangpaint.com)
姫の性格
前回のインタビュー時は明確に定まっていなかったが、「ミステリアス」ということになった。
十丸院のモデル
明確なモデルはいない(十丸院については単行本12巻 p.99 の「描く仕事の本当のところを書く仕事 総括その3」でも触れられている)。
無職と無色(1巻 p.33)
伏線ではない(何も考えていなかった)。
義父による姫の名付け(アニメ8話Aパート)
アニメオリジナルの設定。姫の字画が悪いのは、婿養子に入った可久士が後で苗字を戻したから。
母の仕事
(デザイナーではなく)カラーリスト。
物語の視点
視点のズレ(大人⇔子供、漫画家⇔編集者)による勘違いが出発点。
中目黒の家の部屋に飾られた絵がエピソード毎に変化
スタッフが描いている。過去作ほどはやっていない。
扉絵の女性議員(5巻 p.41)とうろペン(8巻 p.73)
それもスタッフによるもの。
12巻カバー折り返しイラスト
後藤プロのスタッフの未来。
千葉の倉庫(12巻 p.100)
Instagram にアップ(Instagram) した。
姫が上野桜木の家を訪問(7巻 pp.86-87)
可久士の妹の家。
「君は天然色」の起用
ED曲はプロデューサーがたまたま選んだ(「君は天然色」の起用についてはアニメイトタイムズの村野監督インタビュー(www.animatetimes.com) でも語られている)。
次回作の構想
打ち合わせができない状況なので、しばらくはボーッと過ごす。

とくに姫の名付けに関しては連載終了前に考察したことがありますが(『かくしごと』後藤姫の字画と名付けに関する考察)、当時自分は一族の掟とかで両親の希望に反して名付けられたのではないかと考えていました。アニメ8話でほぼその妄想どおりに、可久士が憂鬱そうな表情のなか命名儀式が行われるシーンが描かれたものの、久米田先生が考えていた初期設定とはまた違うものだったということが今回のインタビューで判明しました。原作漫画の作中で明言されていない以上、何が正解ということはなく、アニメスタッフや読者がそれぞれ自由に考えた結果のことですが、原作者の考えが分かってすっきりしました。

ほかにも流石は季刊エス誌というべきか、インタビュアーが作品をよく読み込んでいることが伝わってくる部分も多かったです。コマ枠を机の表現に活用したり(10巻 p.82、12巻 p.38 など)、日常シーンでも小物がシルエットに変化したり(11巻 p.91、12巻 p.33 など)といった表現手法にまで次々に切り込み、興味深い話を久米田先生から引き出していたのが印象的でした。

コマ枠を机の表現に活用したページ。椅子もシルエット表現になっている。(第10巻 p.82)