『シブヤニアファミリー』連載開始

久米田先生の新作、シブヤニアファミリー(websunday.net) が週刊少年サンデーで始まりました。

先週発売の2021年47号(Amazon) に掲載された4ページの予告漫画には作品タイトルしか書かれておらず、連載なのか読み切りなのか、いやそれ以前に作者名すら不明という状況でしたが(絵は明らかに久米田先生によるものだが、原案や原作が別の方という可能性も考えられた)、純粋な久米田作品かつ連載作品であることが誌面で判明しました。

『せっかち伯爵と時間どろぼう』の終了以来6年ぶりとなる週刊連載なわけですが、第1話は6ページのショート作品であり、最終ページの柱コメントからしても次週以降もそういう方式で連載してゆくものと思われます。すでに『かくしごと』でショート形式はやっていますから、読者としても違和感なく受け入れられそうですね。

さて、第1話の感想ですが……すみません、次のページに掲載された畑先生の漫画『トニカクカワイイ』第168話「ハヤテのごとく! 2」(X) にすべて持って行かれてしまいました。

まさか3年半前の『トニカクカワイイ』新連載祝いに描かれた『かってに改蔵』乱入読切のアンサーを描いてくるとは。いや多少は予想していましたが、気合い入りすぎじゃないですかね。

アシスタント時代のエピソードを漫画本編に飽き足らず柱コメントまでビッチリと書かれており、中には「ヤバいネタを描いた時は法務部のチェックが入る」などのぶっちゃけ話も。ちなみに、綾崎ハヤテが作中でよく女装されられていたのは地丹の女装回(単行本4巻 第3話「開幕! 男の祭典!!」)がきっかけだったことは『ハヤテのごとく!』51巻 限定版のスペシャルブック「ハヤテ大反省会・上」でも語られています。

そしてなんといっても16ページ目(46ページ)のマリアさんのセリフこうして20年越しに師弟が揃ってサンデーの誌面に載るわけですから…には思わずうるっときてしまいました。『改蔵』時代からの久米田ファン共通の想いだと思いますが、畑先生の念願でもあったのでしょうね。

「ハヤテのごとく! 2」16ページ目のマリアさんのカット(週刊少年サンデー 2021年48号 p.46)

ほか、3ページ目の地丹は「新しい恥図」の流用かと思いきや、テンパった時の独特な指の形など微妙に差異がありますね。このコマだけ久米田先生に改めて描いてもらった? それともまさか畑先生の描き下ろしなのでしょうか。

「新しい恥図」5ページ目の地丹のカット(週刊少年サンデー 2018年12号 p.85)
「ハヤテのごとく! 2」3ページ目の地丹のカット(週刊少年サンデー 2021年48号 p.33)

肝心の『シブヤニアファミリー』第1話ですが、

  • 『かくしごと』に続き、渋谷という実在の場所が舞台(主人公が通う小学校も校名こそ異なるが建物は実在する)
  • 主人公の都加逸子は小学生(3年生)
  • 六條先生の名前が出てくる

と、いくつか『かくしごと』との共通点が見られます。

『シブヤニアファミリー』予告編で描かれた小学校の実際の場所

『かくしごと』は久米田作品では珍しくラストで登場人物の人間関係や環境が大きく変わっていないという特徴があり、実際に映画入場者特典で(時系列を戻したりせず)『ひめごと』という続きが描けてしまったのも一つにはそれが理由と言えます。ひょっとしたら、六條先生をはじめ『かくしごと』のキャラクターとの共演も見られるのではという期待もあったりなかったり。

渋谷を舞台にしたのは、『かくしごと』の単行本10〜11巻「うろ覚え 漫画家仕事場遍歴」で語られていたように、久米田先生の仕事場が近くにあり、先生自身が渋谷の街を体験しているという事情もあるのでしょうが、『かくしごと』の中目黒と近い(東横線で2駅)ことから、ストーリー的に絡めることが可能という理由もあるかもしれません。考えすぎですかねえ。

いずれにしても、連載としては17年ぶりとなるサンデー帰還、これから毎週水曜日を楽しみに待つ日々が続きそうです。