Twitter → Mastodon

Elon Musk 氏による買収後、Twitter の混乱は何回あったでしょう。私がフォローしている方々に限っても、すでに Twitter に見切りを付けて他のサービスに移行して久しいユーザーも見受けられます。

私自身は、なんだかんだ言っても Twitter を評価していました。その理由の一つは検索機能(X) が充実していることです。

私が SNS に求めることは、仲の良い友人あるいは同好の士とフォローし合って繋がることよりも、世界中に溢れる情報から自分の必要とするデータをいかに効率よく取得できるかということです(そもそも友達いないというのもある(笑))。オフィシャルな情報は事業者が運営する公式サイトを見ていれば良いですが、一方で個人の活動からしか得られない情報というのがあるわけで、個人サイトの掲示板がほぼ消滅した現代においてはそれを SNS に求めるしかないわけです。

Twitter の検索機能はなかなかに優秀で、大きな制限なく2006年のサービス開始時からの17年分すべてのツイートを対象に検索ができるという1点だけ見ても、他のサービスはそうそう真似できないことではないでしょうか。先日、私は台湾における2年前のとある情報を知りたく、当地で流行っているという SNS サービスの Plurk(www.plurk.com) を使ってみたのですが、ログインの有無にかかわらず無料で検索できるのはおおむね1年前までの投稿で、それ以上古いデータは課金が必要でした。それでも金を払って目的を達成できるなら良い方で、機能的に求める情報が引き出せないサービスの方が多い感を受けます。サービス運営側にとって、あるいは利用者にとっても、SNS に投稿されたデータが、サービスが続く限り可用性をもつことはあまり重視されていないのかもしれません。

私は全世界に向けて「公開」された投稿であるならば、投稿者自身が自らの意志で削除や非公開化をしない限りはオープンであり続けることが重要であり、そしてデータというものは単にそこにあるだけでは事実上役に立たず、Web においてはハイパーリンクと検索機能があることによって初めて意義を持つものである、少なくとも自分が投稿したデータはそのように扱われて欲しいと考えています。

なので、Twitter のこの優秀な検索機能が続く限りは私は Twitter を評価し、そして利用し続けるつもりでいたのですが、周知のとおり先日からログインをしないとツイートを閲覧することができなくなってしまいました。これは Elon Musk 氏の発言によるとデータスクレイピングによる影響が無視できなくなった(X) ためで、緊急措置が必要なためでまもなく解除される(X) と説明されてはいるものの、仮に発言どおり一時的な措置であるにしろ、投稿データが public であることを捨ててしまう判断にはショックを受けました。だいたい、このリンクだって Twitter のアカウントを持っていない人には(2023年7月3日時点では)元ツイートが読めないわけで、私が原文を適切に要約しているかどうか検証もできないのです。

もはや検索機能どうこうのレベルではありません。標準的な日本人が相手なら「そんなにツイートが見たいならアカウント作ればいいじゃん」と言うこともできますが、Twitter へのアクセスが難しい環境下(例えば中華人民共和国からのアクセス)はどうでしょうか。これまでは何らかの工夫をして頑張って情報を得ていた人々に対して「アカウントを作ればいい」とは軽々しく言えません。また Twitter が運営終了した遠い100年後とかの未来に、2023年7月上旬のツイートを(アーカイブサービスなどを利用して)振り返るのも難しくなるかもしれません。

もちろん、本当にそういう処置を行わざるを得ない技術的な限界に追い込まれているのかもしれませんが、これまでの数々の混乱を見れば、もはや Elon Musk 氏の発言を好意的に受け取る度量は私には残されていませんでした。

  • ちなみに一日あたりの閲覧数制限(X) は私にとってはどうでもいいことです。我慢しろと言われればそこはいくらでも我慢します。

そういうわけで遅きに失した感はありますが、Twitter を積極的に利用するのを辞め、今後は Mastodon を主軸にするようにします。Mastodon は2017年4月に mstdn.jp(mstdn.jp) にアカウントを作っていましたが、mstdn.jp は本文検索機能がないなどいくつか思うところあり、これを機に Fedibird(fedibird.com) へ引っ越しました。URL の変更は避けられないものの、所定の手続きをすればフォロワーを引き継いでくれるのはありがたいですね。アカウント ID は Twitter と同じです。

なお、Twitter アカウントも今すぐ削除するとか、今後一切ツイートを行わないといったことはありません。Twitter でのみ繋がっている人も多いですし、ROM メインで今後も使い続けはします。必要に応じて発言をすることもあるでしょう。このブログの投稿告知も Zapier(zapier.com) を利用した自動ツイートを行っており、これもしばらくは続けるつもりです。

とはいえ自分の気持ちとしては区切りを付けることになります。Twitter アカウントを作ったのは2010年8月とかなり遅い方で、存在自体はもちろんそれ以前から認知していたものの、当時は「広く伝えたいことがあれば個人サイトとブログがあるわけで、“つぶやき” とかする必要ある?」と冷めた目で静観していたわけですが(中二病が続いていたとも言える)、いったん入り込んでしまえばおよそ13年間もお世話になったわけで。こんなに長く続け、さまざまな出会いがあり、そしてこういう形で去ることになるとは思わなかったなあ。