必要なとき以外は Web サービスをログアウトするようにしている

Web サイトに何を求めるか、あるいはどうあるべきかは世代によっても感覚が異なると思いますが、1990年代後半に Web に出会った私としては「閲覧は匿名、発信は記名」が好ましいと考えています。

以前はブラウザにおける「ログイン」は一部の会員制サイトや通販サービスでのみ発生する特別な行為だったのですが、2000年代中盤から常時ログインを行うサービスが台頭し、SNS の普及もあって今では多数のサービスにアカウントを作ることが当たり前となっています。

そういった状況に対して若干の違和感を持ちつつも、それが世の中の流れであり無料でサービスを利用する以上はやむを得ないと思っていたのですが、2023年7月に当時の Twitter が予告なくツイートの非公開化を行った(閲覧だけでもアカウントの作成とログインが必要になった)ことには大きなショックを受け、私が Twitter を離れる要因にもなった次第です。

しかしよくよく考えてみればこれは Twitter だけの問題ではなく、ログインしないと情報の閲覧すらできない事態にまではならずとも、本質的には他の多くの巨大サービスでも同様のことが起こっています。Web メールを提供する傍らニュース配信を行っているサービスでは、メール送受信のためにログインを行った状態でフィードや SNS で流れてきたニュースを閲覧すると、ページヘッダーに私のアカウントが表示されるわけですがこれはちょっと気持ち悪いと感じてしまいます。私はニュースは匿名で見たいのです。新聞にしろラジオにしろ TV にしろ、私がどんなニュースを好んで見ているのかは提供側は知り得ない情報であるにも関わらず、なぜ Web においてはその個人情報を晒さないといけないのか。IP アドレスと UA 文字列以上のデータはリクエストに載せたくないのです。

私は以前から必要なサイト(アカウントを作ってログインするようなサイト)以外は Cookie を許可しない設定にしているのですが、一方で Cookie を許可したサイトではそのような状況になっているのは自分の行動としてもバランスが取れていないと感じ、昨年から必要なとき以外は Web サービスをログアウトするように意識しはじめました。

とはいえ昔のように都度ログアウトボタンを押して、必要になったときにまたログインを行うのはあまりにも面倒なので、Firefox の Multi-Account Containers(support.mozilla.org)を活用して通常時(デフォルトコンテナー)はログインを行わず、必要なときにのみ開いているページのタブを右クリックして別のコンテナーを選択することでログイン状態に切り換えています。こういった機能、他のブラウザにもあるのかな?

もちろんメインで使っている SNS などは今までどおりデフォルトコンテナーでのログインを続けていますが、そこまで頻繁に使用しないサービスはこのような運用に変えていて、そこまで不便な感じはありません。きっかけは自分のプライバシーを守る発想からのことですが、本来 Web は匿名で閲覧できるべきものとの考えを持つ中で、あるいは自分自身がエンジニアの立場としても Web に向き合っている中で、利用しているサービスがログアウト状態でどう見えるのかを常に意識できる効用もあると思っています。