東海大学「知のフロンティア」でまどか☆マギカの講義

東海大学文学部で「まどか☆マギカ」を題材にした講義がありました。何回か拝聴したので、講義の様子のレポートや感想を書きます。

  1. 基本事項
  2. 講師ブログ
  3. 各回の内容
  4. 感想

基本事項

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シラバスが大学のサイト(www24.tsc.u-tokai.ac.jp) および講師のサイト(PDF)(love.ap.teacup.com) で公開されています。

学期
2015年度 春学期
授業名
知のフロンティア
テーマ
魔法少女は生まれない―『魔法少女まどか★マギカ』講釈―
講師
志水義夫
時限
水曜日 1限(9:20〜10:50)
教室
湘南キャンパス 11号館 402教室
教科書
少年少女のクロニクル(講師の著書)
湘南キャンパス 11号館

講師ブログ

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毎週の講義後に「六條院日記」で内容や授業の補足などが紹介されます。レジュメもPDFで公開されるのがありがたいですね。

それ以外にも関連した投稿もいくつか。

各回の内容

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初回〜第2回

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4月8日の初回講義(ガイダンス)は大教室で立ち見も出たほどだったようで、ニュースサイトにも取り上げられました。

また、このような反響があったからか、平塚のタウンニュースにもインタビュー記事が掲載されました。

第2回講義は「総論」で、さわK(K.Akemi)さんが Togetter にまとめられています。

第3回〜第14回

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第3回からは「まどか☆マギカ」のTVシリーズを実際に視聴し、講釈を行う形態です。

講釈は、脚本の虚淵さんや新房監督がどう仰っているかとか、講師独自のストーリー分析といった事はほとんどせず、文学史的な観点からの小ネタや過去のアニメ作品との比較が中心でした。

たとえば第3回の講義(第1話)では「お約束」という視点についての解説があり、以下のような話がありました。

  • 「お約束」とは、「朝の通学路でパンを咥えて走っていたら、角でぶつかって出会いが始まる」といった定型化された展開、構図等のパターン。
  • 技法としては歌舞伎の時代にまで遡り、「定式(じょうしき)」と呼ばれていた。
  • 「お約束」という用語が使われた事例は機動戦艦ナデシコ11話(1996年)のサブタイトル「気がつけば『お約束』?」などに見られる。
  • まどマギ1話での「お約束」要素は「まどか、さやか、仁美の3人組(主人公、お転婆、お嬢様)」という組み合わせや、「転校生がやってくる」といったストーリーに見られる。

最終回

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助川幸逸郎先生の日本文学概論1(www24.tsc.u-tokai.ac.jp) との合同授業という形で、お二方のトークが行われたようです。

残念ながら行けなかったのですが、講師ブログや Twitter での断片的な情報を見る限り、かなりフリーダムな雰囲気だったように思われます。

2015年7月23日追記などと言っていたら拾遺記事(love.ap.teacup.com) を書いていただきました。受講生のコメントもあり、当日の様子や学生の立場からの(講義やまどかマギカの作品への)受け取り方がよく分かります。

感想

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なにより講義の中でアニメを視聴するというのが新鮮でした。あくまで大学の文学の授業なので、アニメ雑誌に掲載される関係者のインタビューだったり、まどか☆マギカファン同士の交流で聞かれる感想とは別視点での考察を聞けたのは良かったです。

受講生の中には別段アニメ好きというわけでもなく、今回の講義で初めて作品を観たという方もいたと思いますが、そういう方の感想も聞いてみたかったですね。

平日の授業なので毎週会社を休むわけにもいかず、計4回しか参加できませんでしたが、列車を乗り継いで片道1時間半の時間を掛けて行くだけの価値はありました。もっとも本来の受講対象である在校生は、毎回12,000〜15,000字のレポート(聞書)提出が課せられているので、そんな呑気な状況ではなかったでしょうけど。