原鉄道模型博物館と東急電鉄展

原鉄道模型博物館で12月3日まで行われている東急電鉄展(www.hara-mrm.com) に行ってきました。

館外に設置された7000系の大型パネルと実車側壁(一部)

東急電鉄展は館内で2つの会場に分かれており、第一会場では田園都市株式会社による街作りに関する内容がメインで、当時の資料や写真展示のほか、田園調布駅〜多摩川駅とその周辺のジオラマ模型では小さいながらも多摩川園遊園地や展望塔、東横線と目蒲線を跨いでいた二つの橋なども再現されており、一見の価値ありです。

東急電鉄展 第一会場(第二展示室)の全景

一方、第二会場では玉電を含む東急電鉄の車両の変遷と、東急車輛製造のステンレス車製造技術にフォーカスした内容となっており、バッド社とのやりとりが記録された資料やスポット溶接機の実物展示が目を惹きます。

東急電鉄展 第二会場(多目的ルーム)の入口

また一番ゲージでは世界最大級と言われる大型ジオラマでは、東急電鉄展に合わせてデハ200形の模型電車が走行しておりました。

デハ200形の一番ゲージ模型

さてさて、そんな普通のイベントレポートはこのくらいにしておきまして、常設展示に唸らせるものがありましたので紹介しておきましょう。

第三展示室(www.hara-mrm.com) に「フォト・ライブラリー」という、原信太郎氏が生前に撮影された写真をデジタル展示したものがあります。てっきり、氏が制作された鉄道模型でよく紹介されるような、戦前、戦後すぐの国鉄車両や海外の鉄道に関するものが中心と思いきや、意外にも大手私鉄や地下鉄の写真も多く、しかも比較的最近('80年代や'90年代、中には2000年代も)のものまであるではありませんか。

個人的に目を見張ったのは、1990年代に大規模改良工事が行われていた田園調布―多摩川園間や目黒駅、大岡山駅などの工事記録。とくに、一時期東横線と目蒲線の線路が分かれるところに設置されていた長い曲線状の渡り線の写真は、東急特集の雑誌や図書でも見かけることはなく、久しぶりに目にして懐かしい気分になりました。

第三展示室の「フォト・ギャラリー」端末で田園調布付近の工事記録の写真を表示したところ

他にも桜木町駅廃止前の様子など、もはや14年前のこととはいえ、氏の鉄道趣味史を考えればごく最近と言える事象まで記録されていたのには驚きです。

館内端末でしか見られないのはもったいないですし、正直なところ端末のタッチパネルの反応がよろしくなくて操作しにくいこともあり(端末自体の問題なのか閲覧ビューアのソフトウェア品質が悪いのか分かりませんが)、できることなら権利関係をなんとかしてウェブ公開や電子書籍化するなどして、貴重なデータが有効活用されれば素敵なのではないでしょうか。