長野電鉄8500系の集電装置バリエーションとサハ8556ラッピング

長野電鉄の8500系、しばらく訪れていない間に変化があったようなので、見に行ってきました。

  1. 集電装置
  2. サハ8556ラッピング

集電装置

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半蔵門線乗り入れを見越して製造された東急8500系の集電装置は、剛体架線でのスリ板の追従性能向上のため、地上線向けの8000系や8090系とは異なりPT-4309型が採用されました。従来のPT-4304型と比べてもっとも目立つ違いは舟体周りで、先端部が細いパイプ状になっているので一目で区別が付きました。

また、8637F〜8642Fに組み込まれた車両は9000系などと同じPT-44S型となり、従来より小型になっています。大きさの違いはもちろんのこと、菱形の枠組みの下部が台枠に連結される部分の部品形状でも見分けることができます。

さて、長野電鉄譲渡に際し、すべてのパンタグラフが剛体架線未対応の舟体に交換されました。おもしろいのは、最初に入線したT1、T2編成は3連に改造された時点では剛体架線対応の舟体のままで、そのまま構内試運転や甲種輸送が行われており、長野電鉄に入線後、営業開始までの間に現地で交換が行われたものと思われます。T3編成以降は自分の目では確認していませんが、他の方が撮影された写真を見る限り同様の流れのようです。

長津田車両工場で出場前の試運転を行うデハ8502(2005年7月14日)
長野電鉄での営業運転初日のデハ8502のパンタグラフ(2005年9月2日)

しかし、数年前からふたたび剛体架線対応の舟体に交換が始まっています。私がはじめに気付いたのはデハ8504で、2013年7月の訪問時でした。最近になって交換車が増えてきているようで、先日調査しに行ったところ、デハ8501〜8503についても交換を確認、一方デハ8506とデハ8516は依然として未交換です。デハ8505、デハ8515は当日車庫内にいて確認できませんでした。

2021年7月26日追記その後2021年7月に再訪した折、デハ8505、デハ8515は未交換であること、また2018年12月時点で未交換だったデハ8506、デハ8516もそのまま変わらない状況であることを確認しました。

まとめると下記のような状況になり、現時点では4パターンの形態バリエーションが楽しめます。いま、長野電鉄がアツい!

車号 パンタグラフ形状 確認時期
8501 小型・剛体未対応 2012年7月、2013年7月
8501 小型・剛体対応 2018年12月
8502 小型・剛体未対応 2005年9月、2012年7月
8502 小型・剛体対応 2018年12月
8503 大型・剛体未対応 2012年7月
8503 大型・剛体対応 2018年12月
8504 大型・剛体未対応 2009年5月、2010年10月
8504 大型・剛体対応 2013年7月
8505 大型・剛体未対応 2011年4月、2021年7月
8515 大型・剛体未対応 2009年9月、2021年7月
8506 大型・剛体未対応 2009年9月、2021年7月
8516 小型・剛体未対応 2009年9月、2021年7月

サハ8556ラッピング

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集電装置を調査していて、たまたまやってきたT6編成を見てびっくりしたのですが、サハ8556の側面戸袋部分に宝塚大学 東京メディア芸術学部のラッピングがされていました。大学のニュースリリース(www.takara-univ.ac.jp) によると、運行期間は2018年6月から1年間だそうです。

「宝塚大学」のラッピングが行われたサハ8556(2018年12月24日)

8500系のラッピングは、以前にもサハ8553に「長野都市ガス」の広告が貼られているのを見たことがあり、そのときは車番プレート、号車札、会社ロゴマークに掛かる部分がカットされたものでしたが、今回のラッピングは車番とロゴを覆い隠しています。なので、外観からは車番プレートを確認できない状態なのですが、床下のSIVと信州中野方の妻面(妻窓とIRアンテナ撤去痕)を見ればサハ8556であることは一目瞭然ですね。

「長野都市ガス」のラッピングが行われていた時のサハ8553(2010年10月17日)

これ以外にも、これまでに何回かラッピングが行われていたようで、その全容は把握し切れていませんが、Twitterでの目撃情報をいくつかまとめてみます。