長野電鉄信濃川田駅跡に保管されているモハ604とその台車について
屋代線が廃止されて1年が過ぎましたが、信濃川田駅の保存車のことが気になっていたので見てきました。
保存車近況
信濃川田駅跡には、もともと小布施駅の「ながでん電車の広場」で保存されていた旧型車両4両が廃止直前に運び込まれ、また引退した元特急車の2000系、および3500系がそれぞれ1編成ずつ留置されています。
旧型車両群は運び込まれてまもなくブルーシートが掛けられたようですが、劣化が激しく剥がれ落ちてしまっています。2000系の方はきちんと管理されているのか今もブルーシートがきれいに掛かっていますが、車体を完全に覆うものではなく、塗装が剥げている箇所も見られました。
長野市が昨年末に発表した千曲川新道活性化プラン(www.city.nagano.nagano.jp
)によると、2000系だけは「屋代線トレインメモリアルパーク」で保存車としての活用が検討されているようなのですが、3500系を含むほかの6両の処遇は明言されておらず、今後が心配です。
モハ604について
さて、これら保存車群のうち、いわゆる"川造型"のモハ604という車両に注目してみたいと思います。
この車両は1927(昭和2)年にデハ354として製造され、後にモハ604に改番されたのち1980(昭和55)年に廃車、上田交通に譲渡されました。上田では3年ほど放置されたのち、電装解除のうえクハ271となりましたが、その際に東急デハ3450形で使用されていた台車に交換されたようです。当時の地元の方の目撃情報より一部引用します。
しかし上田での活躍期間は短く、1986(昭和61)年の別所線1500V昇圧で廃車された後、保存のために長野電鉄に戻ってきたという経緯があります。保存に際し、車体表記は長野電鉄末期の「モハ604」とされたものの、電装品の復元はなされなかったようで、台車にも主電動機は搭載されていません。
モハ604の台車の来歴
先に引用した読者短信によると、クハ261の台車は昭和10年製だったとのことですが、クハ271の方は小布施保存時代の現車調査では昭和9年製でした。
また東急側の資料を見ると、1981(昭和56)年に廃車されたデハ3463とデハ3470の台車が上田交通に行ったとの記述が見られるので、東急時代に台車の振り替えが行われていなければ1934(昭和9)年製のモハ525(デハ3463)の台車が上田クハ271に使われ、現在も残っていると解釈できます。
なお、同型の川車3450台車はほかに
- 電車とバスの博物館展示物(1台のみ)
- いすみ学園に保存されているデハ3455(いすみ鉄道 国吉駅) 社会福祉法人 槇の里 いすみ学園(
www4.ocn.ne.jp
) - 群馬県山中に保存されているデハ3499(JR前橋駅などからバス) デハ3499号車保存会 活動報告(
www.mc-tc.net
)
が現存しているのを確認していますが、スポーク車輪なのは電バス展示品とこのモハ604のみです。
2013年8月18日追記ブログ「ヒマな時の雑記帳」さんに長野電鉄モハ604の台車(y-ob.cocolog-nifty.com
)と題して、長電時代の台車交換も含めた詳しい記事が上がりましたね。トラス棒の移設が行われていたとは知りませんでした。