『かってに改蔵』連載前のキャラ設定
週刊少年サンデーにて1998年から連載された『かってに改蔵』のメインキャラクターは、連載直前の段階まで名前や外見が異なっていたことがいくつかの資料から明らかになっています。今さらですが、当時の掲載誌を入手したのでまとめてみます。
太陽の戦士ポカポカ 5巻
『改蔵』の前に連載していた『太陽の戦士ポカポカ』の単行本最終巻(第5巻)の巻末おまけページにて、「次回作? 謎のキャラ表入手!!」と題してキャラクター案が掲載されています。
中央にメインキャラクター、その両脇に全裸・蝶ネクタイのおじさんと犬(?)が描かれており、右上には「最高委員会」の文字があります。
メインキャラクターは左から
- ショートカットの外ハネ女子
- メガネで背の低い男子
- 「委員会」の腕章を付けたツリ目の男子
- 短髪できょとんとした表情の男子
- 長髪で笑顔の女子
の5人が描かれています。このうち4人は改蔵、羽美、部長、地丹の原型と思われますが、短髪の男子は外観的には大きな特徴がありません。ボツになったのか、それとも山田さんの原型なのか、他に情報もないので真相は分かりません。
週刊少年サンデー 2000年41号(9月20日号)
『かってに改蔵』初の表紙&巻頭カラーとなったこの号[1]では、巻末の「投稿コミックショー」のコーナー(pp.442-443)が『改蔵』特集となっており、久米田先生のコメント、読者投稿などと共にここでもキャラ表が掲載されています。
前記の『ポカポカ』最終巻に掲載されたキャラ案とは異なるもので、時期的にはこちらの方が後に描かれたものでしょう。メインキャラクターは4人に減っており、そのうち3人には「硝太郎」「流羽」「部長」の名前が付けられています。
改蔵(硝太郎)と地丹(名前なし)の造形は連載時のものに近づいており、部長は白衣らしきものを着ていることから設定もかなり詰まった段階のものと思われますが、羽美(流羽)と部長の髪型が逆であり、ショートカットの羽美(流羽)は髪留めらしきものをしていることにも注目したいです。
- この号は2020年8月1日現在、複数の中古ショップやフリマサイトで在庫があり、日本国内在住なら比較的入手は容易な状況です。また、国会図書館(東京本館)にも収蔵(
id.ndl.go.jp
)されていますが、痛みがあるため雑誌別室で閲覧する形になっていました。
季刊エス 2010年秋号(Vol.32)
「久米田康治 画業20周年記念インタビュー」と称してインタビュー記事が掲載されていますが、 p.48 には連載2か月ほど前に描かれた第1話のネームが掲載されています。基本的なストーリーやコマ割りは実際の第1話とほぼ同じですが、この時点でもまだ名前は「硝太郎」や「流羽」であり、羽美(流羽)と部長の髪型も逆のままです。
前記の週刊少年サンデー2000年41号のキャラ表と比較して、さらに以下の情報が読み取れます。
- 硝太郎(後の改蔵)のフルネームは「甲斐硝太郎」(欄外の解説によると当時の担当が仮で付けた名前とのこと)
- 硝太郎は16歳で2年生(連載時の改蔵は17歳、学年は同じく高校2年生)
- 流羽(後の羽美)の読みは「るう」
一方、第1話のネームすべてが掲載されているわけではないため、この「季刊エス」でも地丹の名前は不明です。実際の第1話では部長が地丹の名前を呼ぶコマがあるので、ネームにも地丹の仮名が書かれている可能性はあり、何かしらの機会にフルで展示していただけることを期待しているのですが(作品展とか作品展とか)。
脚注
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1.
『さよなら絶望先生』第十四集の「紙ブログ」や「このマンガがすごい! SIDE-B」のインタビュー(p.29)によると、連載開始時の第1話はカラーで描いたのにもかかわらず、諸般の事情でモノクロ掲載になったため、結果としてこの号「アイシテルと言ってくれ」が初のカラー掲載となった経緯があります。 ↩ 戻る