西武鉄道に譲渡された7000系(東急9000系)の形態分類
2026年6月より西武鉄道にて元・東急9000系の運転が始まりました。東急電鉄と西武鉄道での車両の融通といえば、後に(旧)西武鉄道となる西武軌道から玉川電気鉄道へ客車3両が譲渡されたり、目黒・東横電鉄の鉄道省譲受車両7両が駿豆鉄道に譲渡されたり[1]といったように、被合併会社や関連会社を含めれば100年ほど前に複数の前例が存在するものの、東急・西武間での直接の譲渡は初めてのことです。
現時点では狭山線にて16両(4R×4F)が運行されているのですが、製造時期による当初からの形態差異(9011Fのみ3次車で車体構造や台車形状が異なる)と東急時代の運行路線による差異(9007Fのみ大井町線生え抜きで保安装置などが異なる)に加えて、譲渡改造によって生じた新たな差異も確認されています。
このたび3日間にわたって全16両を観察してきたので、そのいくつかを紹介します。なお本記事で紹介するのは譲渡改造によって新たに生じた、あるいは逆に消滅した形態バリエーションであり、東急時代より継続している差異は対象外とします。また訪問はいずれも朝ラッシュ時であり、車内のマニア的観察行為は自重したため車外のみとなります。
ワイパー
先頭車正面窓のワイパーは東急時代から多くのバリエーションがあり、一部の車両のみなぜか運転台窓ワイパーのアーム支持方向が逆だったり、非常ドア窓ワイパーはアーム支持方向こそ統一されているもののアーム長さや色に差異があったりといった点がありました。
譲渡改造に際してはクハ9107→クハ7106以外の7両に何らかの変化があります。
| 東急番号 | 西武番号 | 運転台窓ワイパー | 非常ドア窓ワイパー |
|---|---|---|---|
| 9003 | 7002 | アーム右支持、ブレード長・銀色 → 右支持、長・黒色 | ブレード短・銀色 → 短・黒色 |
| 9005 | 7004 | アーム左支持、ブレード長・銀色 → 左支持、長・黒色 | ブレード長・銀色 → 長・黒色 |
| 9007 | 7006 | アーム右支持、ブレード長・銀色 → 右支持、長・銀色 | ブレード長・銀色 → 短・銀色 |
| 9011 | 7010 | アーム右支持、ブレード長・銀色 → 右支持、長・銀色 | ブレード短・銀色 → 長・銀色 |
| 9103 | 7102 | アーム右支持、ブレード長・銀色 → 右支持、長・黒色 | ブレード短・銀色 → 短・黒色 |
| 9105 | 7104 | アーム右支持、ブレード長・銀色 → 右支持、長・黒色 | ブレード長・銀色 → 長・黒色 |
| 9107 | 7106 | アーム右支持、ブレード長・銀色 → 右支持、長・銀色 | ブレード短・銀色 → 短・銀色 |
| 9111 | 7110 | アーム右支持、ブレード長・銀色 → 右支持、長・銀色 | ブレード短・銀色 → 長・銀色 |
妻面ドアコック管
4編成のうち7004Fと7010Fはなぜか妻面のDコックが交換されています。交換後のコックは東急の2000系(9020系)と1000系5次車が装備するタイプが多数派ですが、一部に東急9001F、9014Fなどが装備するタイプも見られます。
ATS受電器
これは譲渡改造によって逆に形態差異がなくなった事例です。
東急時代の先頭車両のうち、大井町線生え抜き車であるクハ9007, 9107は最後までATS関連装置が撤去されず、先頭部の受電器はATS/ATC用を両方装備、また車内に目を向ければ運転台の車警確認ボタンが存置しているなどの特徴がありました。
これらはさすがに譲渡改造で撤去され、受電器は他の先頭車と同じく1対のものに戻されています。
※余談ですが上写真には運転台側の乗務員ドアが写っており、下部に鍵穴が存在することが分かります。9000系3次車以前は本来鍵穴がドアノブ近くの1か所のみなのですが、1980年代から大井町線運用実績のある9001F、9007Fのうち下り方先頭車の海側のみは例外的に下部にも鍵穴が存在するのです。鍵の機構が今も生きているのかは分かりませんが、少なくとも鍵穴は譲渡改造においても存置されており、この車両が元・クハ9007である証拠のひとつといえるでしょう。
脚注
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1.
『西武vs東急戦国史 上巻(雄志篇)』(小堺昭三 1987年)p.189 によると、慶應義塾大学誘致戦に関連した五島慶太の堤康次郎に対する“寸志”からモハ30形4両の譲渡を提案したとあるのですが、実際は両者の会談の2年前にすでに4両を譲渡しており(1927年8月に売買契約)、時系列に矛盾があります。 ↩ 戻る






