『育ってダーリン!!』(だんな様は小学生!!)連載開始前のプロトタイプイラスト

育ってダーリン!!』のヒロイン・羽留うららはロングヘアの高校生ですが、連載開始前の予告イラストではショートヘアで描かれていました。このイラストは2種類が存在し、比較的知られているのは週刊少年サンデー増刊 1994年12月号すなわち『だんな様は小学生!!』掲載号におけるウェディングベールを被ったうららとタキシードを着た冬馬のイラストでしょう。同号の表紙イラスト(ロングヘア)ではウエディングドレスを着ているのに対し、このイラストはあくまでウェディングベールのみであり、首から下はセーラー服なのが特徴です。

一方『だんな様は小学生!!』掲載号のひとつ前、週刊少年サンデー増刊 1994年11月号の次号予告ページに掲載されたイラストはウェディングベールすら被っていないごく普通の制服姿であり、キャッチコピーはBFボーイフレンドにするならで始まり、冬馬のことも私の選んだカレシと表現されているなど、「夫婦」や「結婚」の単語は使用されていません。これは個人的な想像に過ぎないことですが、読み切り掲載から続けての連載化に際して作品名を変えたのもこのあたりに原因があるのではと思う次第です。

サムネイル画像
だんな様は小学生!!』のプロトタイプイラスト2種(週刊少年サンデー 1994年48号 p.348 および同51号 p.342)オリジナル画像

だんな様は小学生!!』あるいは『育ってダーリン!!』の連載開始時は表紙はもちろん予告ページの中でも他作品より大きく掲載されることが多く、歴代の久米田作品の中でもとくにサンデー編集部での期待が大きかったことが伺えます。週刊少年サンデー(増刊号を含む)でこのプロトタイプと言えるイラストが掲載された事例を下表にまとめます。

掲載誌 発売日 ページ 内容 イラスト キャッチコピーなど 印刷
週刊少年サンデー増刊 1994年11月号 1994年10月20日 pp.492–493 増刊12月号予告 セーラー服うらら&野球帽冬馬 女子高生1000人に聞きました!BFボーイフレンドにするなら、絶対年下がイイ=69% モノクロ
週刊少年サンデー 1994年48号 1994年11月2日 pp.348–349 増刊12月号予告 増刊1994年11月号と同じ 増刊1994年11月号と同じ モノクロ
週刊少年サンデー 1994年49号 1994年11月9日 pp.406–407 増刊12月号予告 ウェディングベールうらら&タキシード冬馬 結婚報告ハガキ、わたしたち婚約しました! モノクロ
Jサンデー 1994年11月24日号 1994年11月10日 pp.360–361 増刊12月号予告 増刊1994年11月号と同じ 増刊1994年11月号と同じ モノクロ
週刊少年サンデー 1994年50号 1994年11月16日 pp.352–353 増刊12月号予告 1994年49号と同じ 1994年49号と同じ モノクロ
週刊少年サンデー増刊 1994年12月号 1994年11月19日 pp.3–5 増刊(超)1月号予告 ウェディングベールうらら&タキシード冬馬 女子高生若妻ドキドキコメディー カラー
pp.488–489 増刊(超)1月号予告 ウェディングベールうらら(部分、冬馬なし) 予告すごろく、ボッキン系の巨匠が描く禁断の新連載! モノクロ
p.490 目次 ウェディングベールうらら&タキシード冬馬 (部分) ○○毛も生えないのに夫婦善哉! モノクロ
週刊少年サンデー 1994年51号 1994年11月22日 pp.342–343 増刊12月号予告 ウェディングベールうらら&タキシード冬馬 北崎拓(まんが家)ほかOL&モデル&看護婦の計4名からのコメント掲載 モノクロ
週刊少年サンデー 1994年52号 1994年11月30日 pp.338–339 増刊12月号予告  1994年51号と同じ 1994年51号と同じ モノクロ
週刊少年サンデー 1995年1号 1994年12月7日 pp.404–405 増刊(超)1月号予告 ウェディングベールうらら&タキシード冬馬 新婚ムフフ新連載!!24P!! 小学生と女子高生の甘く切ない営み!!(他作品と混じっての掲載だが『まじっく快斗』と並んでもっとも大きく掲載) モノクロ
週刊少年サンデー 1995年2・3号 1994年12月14日 pp.6–8 増刊(超)1月号予告 ウェディングベールうらら&タキシード冬馬 禁断の幼妻&夫ドッキリコメディー!! カラー
週刊少年サンデー 1995年4号 1994年12月27日 pp.430–431 増刊(超)1月号予告 増刊1994年12月号と同じ 増刊1994年12月号と細部を除き同一 モノクロ

イラストそのものは2種類なのですが、レイアウトは予告ページのみに絞っても上表のとおり6種類ものバリエーションが存在します。その中にはカラー掲載された号もあり注目度は高いはずなのですが、これまで原画展での展示や画集への収録がされたことはなく、知る人ぞ知る幻のイラストとなってしまっているのは勿体ないところです。

まさか原画が現存しないということは……。考えたくはないのですが、「一挙後悔中」(2016年、東京&大阪)と「久米田康治のかくしごと展」(2017年、熊本)では『√Pルートパラダイス』すら僅かながら展示があった中で[1]、『育ってダーリン!!』は一切の展示がなかったくらいですし、『悔画展』への収録もゼロだったのは周知のとおりです。連載開始当時は1994年12月号から1995年6月号まで7号連続で表紙に載った(つまりカラーイラストが表紙分だけでも最低7種類存在した)のに対して、その後の扱いの落差がもっとも大きな作品とすら思います。「全曝し展」(2021年、東京)で数枚の原画展示があったのには救われましたけれど。

脚注

  • 1.

    一挙後悔中」における『√Pルートパラダイス』の展示は追加開催された大阪会場のみ。詳細は当時の訪問記にて。 ↩ 戻る