叛逆以降の『まどか☆マギカ』新作に虚淵玄は脚本として関わるのか

先日開催された「まどか楽会」第2回で、プレスリリース、関係者インタビューで振り返るコンセプトムービー(www.slideshare.net) と題した発表を行いました。

基本的には、楽会内の討論会に備えての事実確認を目的とした発表で、事実の列挙にとどめ私見を極力排除したものですが、1か所だけ個人的な解釈を話したところ、参加者の中でも意見が割れる結果となりました。それは「まんがタイムきらら☆マギカ」vol.24 に掲載された、新房昭之×久保田光俊インタビューの中での久保田社長の発言で、コンセプトムービーに関わっているメンバーに言及された部分です。

脚本ではないのですが、虚淵(玄)さんの書いたテキストをベースに、イヌカレーさんが中心となって、原作チームで要素を追加した「原作」と呼べるようなテキストを今作っているんですね。その中から、出したいダイアローグと、合わせて描いたイメージボードの中で入れたいものをピックアップしてくださいと、新房さんがイヌカレーさんにオーダーを出して、そこからさらに新房さんがセレクトした感じです。

「まんがタイムきらら☆マギカ」vol.24 新房昭之とMagica Partner 第6回

気になるのは下記の2点。

  • 虚淵さんの書かれたテキストを「脚本ではない」と言われている。
  • これまでの「Magica Quartet」ではなく「原作チーム」という呼び方をしている。

前者については、あくまでコンセプトムービーであって一般的なアニメ制作とは異なるものなので、脚本と言えるものではないという意味なのかもしれません。後者もとくに深い意味はなく、単に「マギカカルテット」は言いにくいので、インタビューの場では「原作チーム」という言い方をされただけの可能性もあります。

ただ、コンセプトムービーやその後に作られるであろう新作において、虚淵さんの関わり方がこれまでとは異なるものになるのではないか、とも受け取れる発言だと思いました。

ここで虚淵さんの過去の発言から、氏の考えを振り返ってみます。2015年に発行された書籍「いま、幸福について語ろう」内でこんな考えを語られています。

『まどか☆マギカ』はテレビシリーズの後、劇場版『[前編]始まりの物語』『[後編]永遠の物語』を作りましたが、これは今後さらに『まどか☆マギカ』の世界を広げていくための地ならしをしているだけの話なんですよ。さらに言えば、広げていく作業に自分はあまり深くコミットする気はないというか、人任せにしていってもいいと思っています。そうでないと、自分の想像力の範疇からまどかが出て行ってくれないので。

「いま、幸福について語ろう」p.65

インタビューは2013年3月に収録されたものとのことで、新編の公開前ですが、脚本としての作業は終わっている段階だったと思われるので、ここで語られている続編は新編の後のことを指しているのでしょう。

このように、少なくとも虚淵さんは「『まどか☆マギカ』の脚本 = 虚淵玄」という構図には固着しておらず、この引用文の直後で『機動武闘伝Gガンダム』の例を出されているのですが、『まどか☆マギカ』もガンダムシリーズのような存在になることを理想とされているのだと受け取りました。すなわち、仮に新作で虚淵さんが「脚本」という役職でなくなったとしても、とくに不思議ではないと言えるでしょう。

もちろん現段階では、わずかなインタビューの発言だけでは推測の域を出ない状況ですので、憶測はこの辺にしておきましょう。とりあえずは9月のMADOGATARI展 東京アンコール会場で映像を収録した Blu-ray が図録に同梱されるとのことで、そのコピーライト表記に「Magica Quartet」があるのかどうか、注目してみたいと思います。