秩父鉄道7000系の消火器本数が車両によって異なる理由

先日秩父鉄道に乗った際、2編成ある7000系(元・東急8500系)で車両によって消火器の設置本数が異なることに気付きました。

車号 消火器配置
デハ7001 三峰口方山側、羽生方乗務員室
デハ7002 三峰口方乗務員室
デハ7201 三峰口方乗務員室、羽生方海側
デハ7202 三峰口方乗務員室、羽生方海側
サハ7101 三峰口方海側、羽生方海側
サハ7102 羽生方海側
オリジナル画像
画像1秩父鉄道7000系(3両編成)の消火器配置図

三峰口向き先頭車であるデハ7200形は変わらないのですが、羽生向き先頭車デハ7000形と中間車のサハ7100形は1本配備と2本配備が混在しています。なぜこのような違いが生じているのでしょうか。

  1. 東急8500系(田園都市線10両編成)の消火器配置バリエーション
  2. 秩父鉄道7000系の消火器配置バリエーション

東急8500系(田園都市線10両編成)の消火器配置バリエーション

東急7200系や8000系は消火器を各車に1本配備していましたが、地下線対応の8500系は2本配備となりました。基本配置は車端部の上り方山側と下り方海側ですが、乗務員室、貫通扉、車椅子スペースの有無により下表のようなバリエーションがあります。

号車 形式 消火器配置
1号車 デハ8600 上り方乗務員室、下り方海側
2号車 デハ8700 下り方両側
3号車 サハ8900 上り方海側、下り方海側
4号車 デハ8800 上り方山側、下り方海側
5号車 デハ8700 下り方両側
6号車 デハ8800 上り方山側、下り方海側
7号車 デハ8700 下り方両側
8号車 サハ8900 上り方山側、下り方海側
9号車 デハ8800 上り方海側、下り方海側
10号車 デハ8500 上り方山側、下り方乗務員室
オリジナル画像
画像2田園都市線8500系(10両編成)の消火器配置図

デハ8700形は下り方の海側・山側にまとめられています。これは上り方に両開き引戸タイプの貫通扉があり、妻窓が点検用に開く構造になっている影響で、消火器が支障してしまうために下り方に逃がしたものと思われます[1]

画像3上り方妻面に貫通扉のあるデハ8700形の消火器は下り方に集約(デハ8766)

また後天的な改造として、3、9号車への車椅子スペース設置に際しては、当該箇所である上り方山側の消火器が海側に移設されています。未更新車のうち車椅子スペース設置が海側に設置された車両が6両存在しましたが[2]、これらは車椅子スペースの妻部窓下に消火器の収容スペースが設けられ、他車と同様に元々あった山側の消火器は撤去されました。

画像4上り方山側に車椅子スペースが追設された車両は当該箇所の消火器が海側に移設(サハ8961)
画像5上り方海側に車椅子スペースが追設された車両はそこの突起内に消火器を収納(デハ8815)

上記とは別に、車体更新車のうち改造工事が後期に行われた車両は、消火器が壁掛け(頭上)から座席脇(足元)へ移設され、その設置位置も下り方に集約されました(先頭車は1本が乗務員室設置なのは変わらずなので、上り向きのデハ8600形は下り方海側、下り向きデハ8500形は上り方山側のみ)。

画像6後期の車体更新車は車端部座席脇に消火器収納箱が設置された(サハ8942)

秩父鉄道7000系の消火器配置バリエーション

田園都市線8500系の消火器配置パターンが分かったところで、秩父鉄道7000系の配置を再掲します。分かりやすく東急時代と比較したデータも含めてみました。

秩父車号 東急車号 東急号車 消火器配置(秩父) 消火器配置(東急) 備考
デハ7001 デハ8509 10号車 上り方山側、下り方乗務員室 (同左)
デハ7002 デハ8709 2号車 下り方乗務員室 下り方両側 下り方を先頭化(譲渡時)
デハ7201 デハ8609 1号車 上り方乗務員室、下り方海側 (同左)
デハ7202 デハ8809 9号車 上り方乗務員室、下り方海側 上り方海側、下り方海側 上り方を先頭化(譲渡時)
サハ7101 サハ8950 3号車 上り方海側、下り方海側 (同左) 上り方山側に車椅子スペース追設(東急時代)
サハ7102 サハ8926 8号車 下り方海側 上り方山側、下り方海側 上り方山側に車椅子スペース追設(譲渡時)
  • 消火器配置は東急時代基準の表現(上り方=三峰口方、下り方=羽生方)。

こうしてみると、車両によって配備本数が異なる原因はデハ7000形は先頭化改造(乗務員室設置)、サハ7100形は車椅子スペース設置であることが分かります。いずれも譲渡改造で当該部分の座席を撤去した際、秩父本線には地下区間どころか隧道すらないため2本配備は不要と判断され、消火器は移設ではなく単に撤去となったのでしょう。一方で、譲渡工事で手を入れなかった箇所の消火器をわざわざ撤去することはされず、6両のうち4両は引き続き2本配備のままとなったため、結果として車両によって本数差異が発生したということになります。

画像7東急時代のまま消火器2本配備の秩父鉄道サハ7101(写真は三峰口方車端部)
画像8三峰口方(東急時代の上り方)の消火器が撤去された秩父鉄道サハ7102

かつて一部の8000系が田玉線8500系の中間に組み込まれた際、地下線対応の一環で消火器が増設されたものの、復旧工事で撤去されることもなく2本配備で東横線に戻ったことがありましたが、そんな状況を思い起こさせる光景ですね。

  • [1]なお、先頭車でもデハ8533~8542には貫通扉が設けられましたが、これらは消火器を他へ逃がしようがないからか、戸袋になっている妻窓に支障する形で消火器が設置されています。やむを得ない処置なのでしょうが、窓を開ける際はいったん消火器を退かすのでしょうか。
  • [2]デハ8811、8815、サハ8911、8915、8947、8948 の6両。