OVA『かってに改蔵』オープニングの『仮面ライダー』オマージュ

OVA『かってに改蔵』(king-cr.jp) のオープニングが『仮面ライダー555』のオマージュであることは周知の事実かと思います。

仮面ライダー555(ファイズ) 第02話[公式](YouTube)

一方、オープニング後半で曲の間奏中に虎馬高校2年生、勝改蔵は改造人間である。……のナレーションが入る部分は初代『仮面ライダー』からのオマージュとなっています。これは元々原作漫画の2話「失われた記憶!?」の冒頭で同じオマージュが行われていたことに端を発するもので、原作準拠の一環とも言えます。

『かってに改蔵』2話1ページ目(単行本1巻 p.31)

ところで『仮面ライダー』のオープニングは話数によって複数のバリエーションがあるのですが、私は世代ではないこともあり『ライダー』を見たことがなかったため、具体的にどのバージョンを元にしたのか分かっていませんでした。そんな折、先日より『シン・仮面ライダー』の公開記念として ABEMA で『仮面ライダー』全98話の一挙配信(times.abema.tv) が行われていることを知り、これを機に調査した次第です。

1話「怪奇蜘蛛男」は YouTube でも公開(YouTube) されていますが、オープニングの曲の間奏パートは本編シーンを繋ぎ合わせた映像でナレーションはありません。このパターンは4話まで続きます。

5話「怪人かまきり男」では早くも映像がリニューアルされ、サイクロン号で大階段を駆け上がるシーンが印象的なバージョンになります。曲の間奏パートはショッカーの怪人たちがポーズを決める映像であり、ナレーション仮面ライダー本郷猛は改造人間である。……が重なります。ここで登場する怪人は

  • 蝙蝠男(第2話で登場)
  • かまきり男(第5話で登場)
  • さそり男(第3話で登場)
  • サラセニアン(第4話で登場)

の4体で、このうちサラセニアン以外の3体が『改蔵』でオマージュされています。

『仮面ライダー』5話と『かってに改蔵』1話 OP に登場する3体の怪人カット比較

また怪人シーンと挿入位置が前後しますが、地球儀が出てくるのも明らかにオマージュでしょう。ただし『仮面ライダー』では止まっている地球儀を怪人が回そうとするのに対し、『かってに改蔵』では回転している状態から押さえて停止させる違いがあります。これについてはショッカーは悪の秘密結社である一方、科特部は全くそうではないため、オマージュをするにしても原作漫画におけるキャラクターの立ち位置を尊重し、あえて逆の演出を行ったのではないかと個人的に考えています。

『仮面ライダー』5話と『かってに改蔵』1話 OP の地球儀カット比較

さて、14話「魔人サボテグロンの襲来」では仮面ライダーが本郷猛から一文字隼人に交代したことでオープニング映像も全面的に差し替えられます。しかし劇中で交代の事実が語られるのは14話の本編内であり、14話のオープニング時点では視聴者は交代の事実を知らないためか間奏ナレーションはなく、次の15話「逆襲サボテグロン」で名前を差し替える形でナレーションが復活します。この時、映像も14話バージョンを元にナレーションが始まるタイミングの1か所のみ差し替えられ、ショッカーの基地内で改造手術を受けるカットが新規登場します。

このバージョンは一部カットを差し替えたり、スタッフ・キャスト表記のフォントを明朝体からゴシック体に変更したり(40話〜)といった変更を加えつつ、一文字隼人が南米へ旅立つ52話まで使用されます。

『仮面ライダー』15話と『かってに改蔵』1話 OP の人体改造カット比較

ということで、OVA『かってに改蔵』のオープニングは

  • 『仮面ライダー555』オープニング
  • 『仮面ライダー』オープニング(5話〜13話バージョン)
  • 『仮面ライダー』オープニング(15話〜52話バージョン)

の3作品をオマージュして作られたと言えるでしょう。