「2015ゆのまえ漫画フェスタ」で久米田康治先生のサインをもらってきた 〜その1 前夜祭編〜
「2015ゆのまえ漫画フェスタ」に久米田康治先生が出演されるとのことで、熊本県湯前町まで行ってきました。
この記事は前夜祭も含むトークショーの簡単なレポートと、行き帰りや宿泊地について取り留めもない備忘録、あと何よりサイン色紙の自慢をしたいがために書くものです。なお、トークショーの内容などはファンの視点から久米田先生のことを中心に書いていますので、他の先生のファンの方はご了承くださいませ。
湯前へ向かう
- この章はイベントそのもののことは書いていないので、読み飛ばしても問題ありません。
イベント会場のある湯前町は、熊本と宮崎の県境付近に位置する町で、交通の便はあまり良くありません。とくに九州外から飛行機で来る場合、地理的には鹿児島空港や熊本空港が近いのですが、どちらの空港も鉄道が乗り入れておらず、湯前へ直通する高速バスもありません。なので福岡空港で降りて博多から新八代まで新幹線を使い、そこからローカル線に乗り継ぐ方法と、宮崎空港から高速バスなんぷう号(www.kyusanko.co.jp
)で人吉ICまで行き、人吉駅経由で鉄道(第三セクター)か地元の路線バスで湯前まで行く方法が一般的かと思います。
私はいわゆる "乗り鉄" ではないものの、未乗車の鉄道路線には一度は乗っておきたい欲があり、高速バスより時間はかかるものの、宮崎から鉄路で吉都線、肥薩線を乗り継ぐルートにしました。
まずは羽田空港を6時50分に出発するソラシド エアの SNA051 便で宮崎空港に8時40分着。南宮崎駅から特急きりしま7号で都城駅、そこから非電化の吉都線に乗り換え吉松駅には11時46分着。
吉松から人吉まではループ線と2か所のスイッチバックで山越えをする区間で、日本三大車窓と言われているようです。日中の2往復は観光列車となっており、途中駅では5〜10分程度の停車時間を設けて記念撮影や地元の方による名産品販売、また景色の良い区間での一時停車も行ってくれます。
正直言うと、私はこういう「もてなしてやるぞ、さあ楽しめ」的な雰囲気は、画一的な楽しみ方を強要されている感があって好きではないのですが、この時間帯は観光タイプの列車しか走っていないので仕方ありません。
それでも長時間停車のおかげで、途中駅の駅舎の様子を見られたのは良かったです。とくにループ線の途中にある大畑駅はアニメ『夏目友人帳』でも描かれたことがあるので、お手軽な「聖地巡礼」ができました。
人吉駅には13時5分着。ここから湯前までは第3セクターのくま川鉄道を利用したいところですが、次の列車まで1時間半近く空いているので路線バスで移動します。
ただバスも次の便まで30分ほど時間があったので、駅近くの『夏目友人帳』聖地を訪問します。南東に向かって25分ほど歩き、田町地区にある天満宮へ。ここは2期のオープニングで名取さんが腰掛けていた場所です。
この天満宮の目の前にバス停があるので、人吉駅に戻ることなく湯前に向かえるというわけです。産交バスに50分ほど揺られて終点の湯前駅には14時32分着。15時から始まるトークショーの会場へ急ぎます。
前夜祭トークショー
駅から2〜3分のところにある「湯前町農村改善センター」で、イベントの前夜祭として漫画家の村枝賢一、河合克敏、久米田康治、そしてシークレットゲストの皆川亮二(オフで来ていたらしい)の各先生を招いたトークショーが行われました。15時から17時までのたっぷり2時間をかけたもので、前半はトークショー、後半は画力対決と称して、お題に沿ってその場で絵を描いてもらうというものです。
驚いたのは、イベント中も撮影可、SNS等への投稿可ということ。ベテランの漫画家らが来るとはいえ、地理的に参加者も少ないまったりしたイベントだからこそできるもので、都会のイベントでは考えられないことですね。
町長挨拶の後、まずは司会から参加者がどこから来たのか質問。もっとも多かったのは(湯前以外の)熊本県内で、見た感じ半分以上。交通の便が悪いとはいえ熊本駅からなら普通列車のみでも3時間かからないので、比較的手軽に来れるのでしょう。九州外からは関西、関東、東北がそれぞれ数人ずつ。もっとも遠い方は青森県からいらしたようでした。
トーク
続いて先生方のトークが始まります。
以下、久米田先生の発言からいくつか選定して要約。
- サイン会は「コミックライターズ∞」以外にも、すごい昔にサンデーの「まんが祭り」[1]と、台湾も含めて4回目。
- サイン会はなるべく遠くでやりたい。知らない町で……。
- 小学生のときに壁新聞を連載していたが、悪口っぽい内容だったので担任に打ち切りにされた。人生で初めての打ち切り(会場笑)。
- 本格的に "コマ" を描いたのは大学生から。その後編集者になろうと思ったが、受けた会社を落ちてしまった。その時一緒に受けて落ちた人が赤松健さん(会場笑)。その後再び漫画を描くことにして、『行け!!南国アイスホッケー部』の連載が決まった。
- 憧れていた漫画家はあだち充先生。最初はラブコメを描く予定だった。
- 漫画家を題材にした漫画を描けと言われたら、漫画家であることを隠す漫画しか描けない。
- あだち充先生の作品に出会ったのは『陽あたり良好!』が最初でその後に『みゆき』とか。ビキニがエッチでなく健康的に描かれている。自分が描くと生々しくなってしまう(会場笑)。
私はこのイベントで初めて実物の久米田先生を拝見したわけですが、まあ想像どおりの方でした。他の先生方がお話しになっているときに、相づちを打ったり一緒に笑うことはまったくせず、でも話が振られればネガティブトークで会場を沸かせ、しかしご自身は渾身のギャグを言った感もなく真顔という。「ああ、本物の久米田先生だ」と思いましたよw
画力対決
司会者がお題を出し、それに沿ってスケッチブックに絵を描いてもらうというものです。
お題は以下の5つです。
- 左隣に座っている先生(久米田先生は皆川先生)の作品の好きなキャラクター
- 先生方が考える湯前町のイメージキャラクター
- 『うる星やつら』のラムちゃん
- 「湯前まんが美術館」で開催中の「漫画家による仏の世界展」にちなみ、"仏様"
- 今年話題になった「ドローン」をテーマにした作品
最初のお題では、河合先生はうろペンと風浦可符香を、久米田先生はスプリガン(websunday.net
)の御神苗を描かれていました。
2題目、公式のイメージキャラクターゆっくん(www.yunomae.com
)の頭の部分が気になって外してみたということで、茅葺き屋根が開いた状態のキャラクター。さらに湯前はUFOの町として有名ということで(※そんな事実はない)、宇宙人っぽく描いてみたと。
3題目のラムちゃん。もみあげが短くなってしまったようで。久米田先生がラムちゃんを描いたのは、2007年に『うる星やつら 新装版』27巻の「My Lum」コーナーに寄稿されて以来でしょうかね。
4題目の仏様。曼荼羅を描こうとしたが時間がなかったとのこと。タイトルを付けるとしたらとの質問には「神も仏もない」と回答。
最後のお題のドローンでは、「ドローンえもん」(?)を描いて会場は笑いに包まれました。ポケットはなぜか左胸に。
質問タイム
最後に参加者の中から質問タイムが設けられました。
ひとつ目の質問は「サンデー以外で描くとしたらどの出版社、ジャンル、どういう話を描いてみたいか」でしたが、すでに4人ともサンデーを離れていることから先生方は苦笑い。久米田先生の回答は「新しいことを考えられないので、なるべく僕のことを知らない人が読んでいるような雑誌がいい(また同じものを描きやがってと言われないように)」。また、「別にサンデーと喧嘩したわけではない、仕事先を潰すのはやめて」と会場の笑いを誘っていました。
もう一つの質問は「新編集長のもとサンデーで新連載をするとしたら何を描いてみたいか」。久米田先生は「この中にサンデーのスパイがいないとも限らないから言えません」という、どこまで本心なのか分からない回答。ただ「個人的にはいつ終わっても大丈夫な、最終回がないようなものがいい」と付け加えていました。
最後に
最後に、司会の方から「ご自分にとって漫画とはどのような存在か」という質問がありました。久米田先生は「漫画とは何かが言えるようになったら辞め時かなと、それをこれからも考えていくのかなと」と意外にも(?)深い回答。
退席後
先生方が退席された後、ホワイトボードがひっくり返され、あらかじめ先生方が描かれていたイラストが披露されました。久米田先生が描かれたのは糸色望と風浦可符香(とうろペン)。
フラワースタンド
今回のイベント向けに久米田康治先生へお花を贈る企画(mp0.blog44.fc2.com
)が鞘橋ちえさんの発案で行われ、私も参加させていただきました。
50本のひまわりの中に久米田キャラが差し込まれたもので、会場でもひときわ存在感を放っていました。
宿泊「ブルートレインたらぎ」
会場を後にし、湯前駅前にあるレストランで夕食をとった後は、くま川鉄道で3駅戻って多良木駅へ。駅前にはブルートレインの客車3両が置かれていて、宿泊施設ブルートレインたらぎ(www.bluetrain-taragi.com
)として活用されています。お値段も大人3,080円とリーズナブル。
別に鉄道好きだからここに泊まることに決めていたわけではなく、存在も知らなかったのが適当に安い宿を探していたら検索にヒットしたというわけです。
メリットは
- 駅の目の前
- 料金が安い
- ブルートレインの実物に泊まれる楽しさ
デメリットは
- 普通のホテルのようなサービスは望めない(部屋に無線LANやテレビはなく、ゴミ箱は使用禁止で、ラウンジカーに行く必要がある)。
- シャワーがなく、すぐ近くの温泉施設を利用する形なので、雨天時や真冬は屋外移動がしんどいかも。
- すぐ横を線路が通っているので、(ローカル線で本数は少ないとはいえ)終電までと始発以降は騒音が気になる。
といったところでしょうか。
室内は現役時代から大きくは変わっていませんが、Bソロの上段荷物置き場には天窓が設けられていました。あと、コンセントが増設されていたのは嬉しいですね。
長くなってしまったので、イベント当日のサイン会とトークショーは別記事で。その2 サイン会編につづく。
脚注
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1.
2001年6月に幕張メッセで行われた第14回「次世代ワールドホビーフェア」のこと。 ↩ 戻る