「魔法少女まどか☆マギカ TVシリーズ 比較検証会」レポート
8月19日に「魔法少女まどか☆マギカ TVシリーズ 比較検証会」を開催しました。そのレポートです。
当日の進行
当日はまず、このような会を行うにあたり著作権法での規定を説明させていただいた後、実際に映像を流して差分情報を解説しつつ、参加者からも自由に発言をいただきました。
1話あたり45分〜1時間ほどかけて進んでいきましたが、10話はMBSとネット配信とTBSの違い、Blu-rayとDVDとの違いなどバリエーションが多くて2時間近くかかり、結果として11話を終えたところで時間切れとなってしまいました。もっとも、12話は放送当時(震災後の一挙放送)から完成度が高く、パッケージ版との差異は多くないため、差分的に興味深い10話と11話までは行けて良かったです。
参加者による(私が把握していなかった)差分情報については、想定より多くのデータが集まりまして、いただいた情報はいずれ比較本に反映したいと思います。
当日話題になった小ネタ
以下、差分ではないが面白い小ネタなど、当日話題に挙がったものをまとめてみます。
【1話】モブキャラにコメットさん?
14m16s で体育教師が「県内記録じゃないの?」と驚くカット、青髪の女子生徒が『Cosmic Baton Girl コメットさん☆』の主人公であるコメットに似ているという発言がありました。
公式サイト(閉鎖済み)のキャラクター紹介(web.archive.org
)と見比べると……、髪型など言われてみれば似ている部分はありますが、ちょっと判断は付かないですね。
【1話】片足を上げたポーズのほむら
ショッピングモールの改装中フロアでまどかの前に姿を現したほむらは片足を上げたポーズを取っていますが、これは「KEY ANIMATION NOTE VOL.4」の p.49 によると新房監督の趣味だそうで、元々の原画ではもう少しおとなしいポーズだったことが分かります。ポーズありきで画面の構図が決まったためか、なぜか2つだけそこに置かれた布袋にわざわざ足を乗せるという、必然性がなく違和感を覚えるカットとなってしまっています。
ちなみにこの違和感は前編では緩和されています。気になる方は前編を見返してみてください。
【2話】「ママ、目が怖いよ」のセリフはアドリブ?
2話Aパートのまどかと詢子の洗面所での会話シーンで、まどかが「ママ、目が怖いよ」と言いますが、これがアドリブではないかという発言がありました。
これについては Blu-ray、DVD 4巻のオーディオコメンタリーで虚淵玄さんが下記の発言をされています。
なので、セリフ自体は悠木碧さんのアドリブではないが、後藤邑子さんの演技力によって結果的には改善の余地のあるものに仕上がってしまった、ということでしょう。
【3話】酔った詢子のセリフ
酔っ払って帰宅した詢子が担がれながら「あの廃れハゲ、呑みたきゃ手酌でやってろっつの」の後に聞き取れない台詞を発しています。参加者の中から「(カツラを)めくるぞ」ではないかという意見が挙がりましたが、ハッキリしたところは分かりません。
TVシリーズのBlu-ray、DVDには字幕がないのですが、海外版なら字幕があるので確認したところ、残念ながら聞き取れない部分のセリフ自体がありませんでした。台本にない、後藤邑子さんのアドリブだったのでしょうか。
【3話】マミの手袋描き忘れ
お菓子の魔女戦でのマミは、手袋が描かれていないカットが多いです。前編ではかなり修正されているのですが、まどかの手を取って走るカットは目立つ部分にもかかわらずTVシリーズそのままとなっています。
【4話】余部橋梁(?)を歩くまどほむ
マミのマンションからで出会ったほむらとまどかが歩く橋はトレッスル橋の形をしています。国内だと山陰線の(旧)余部橋梁が有名で、おそらくそれを参考にしたのではないかと思っています。
- (旧)余部橋梁の写真はWikipedia に掲載(
commons.wikimedia.org
)されたパブリックドメインの画像を転載。
あくまで橋の形状が似ているというだけで、背景の工場群など周囲の光景は(旧)余部橋梁とは異なります。いわゆる「聖地」の扱いとは違うかもしれませんが、聖地巡礼系のブログでもこれに言及した例は見たことがないので、小ネタとして紹介させていただきました。
- ちなみにこの(旧)余部橋梁は2010年に架け替えられており、現在は一部が保存されています。
【5話】新宿界隈(?)を歩くまどさや
落書きの魔女の手下に遭遇する直前、さやかとまどかが夕刻の街を歩いている1カットが新宿のモザイク通りに似ているという発言がありました。
これも聖地巡礼系のブログで取り上げられた例は見たことがありませんが、Googleストリートビュー(www.google.com
)で見ると確かに雰囲気が似ています。
【10話】芸術家の魔女の手下の声優
眼鏡ほむらに対して「だったらいっそ、死んだ方がいいよね」「そう、死んじゃえばいいんだよ」と囁くMichaela(芸術家の魔女の手下)の声は松嵜麗さんによるものだそうで、御本人のブログに記事がありました。
ちなみに喋っているのは魔女ではなく手下(使い魔)の方です。「劇団イヌカレーイメージノート」の p.100 にはマジョのセリフは手下がしゃべっている。
という記述がありますし、後編の字幕でも「(使い魔)」と表示されていますね。
【10話】左右に動く雲
救済の魔女(Kriemhild・Gretchen)が出現して魔女文字が表示されるシーンで、複数の雲が左右に流れていますが、新編改編後の学校の渡り廊下のシーンでこれと似た動きがあるという指摘がありました。
実際の気象現象ではなかなか見られない動きなので、同じ意図があるのではないかとのことでした。もっとも、仮に同じ意図があったとしてもそれがどういう意図かは不明ですが……。
【12話】2012年の TOKYO MX でエンドイラストがなかった理由
時間の関係で12話を流すことはできなかったのですが、エンドイラストの小ネタのみ紹介しました。
TV放送とネット配信では本編終了後にエンドイラスト(蒼樹うめ)が表示されるのですが、2012年の TOKYO MX での放送時はアルティメットまどかによる「後提供」になっており、エンドイラストは表示されませんでした。その理由について、スポンサーのひとつにグッドスマイルカンパニーがあり、放送内でもアルティメットまどかの1/8スケールフィギュア(www.goodsmile.info
)のCMを流していたことから、宣伝の意図があってのことではないかという意見が挙がりました。
実際のところ、この時の放送は他のTV放送と比べていろいろ特異な点があり、個人的にはエンドイラストの件も一連の変更の一環に過ぎないのではないかと思っています。ただ、これまで例のなかった12話の後提供のイラストを新規採用するにあたり、アルティメットまどかのカットが選ばれたのはフィギュア宣伝の意図も込められていた可能性も充分に考えられますね。