伊賀鉄道モ202 の VVVF 装置が(2018年に) RG621 型に換装
表題の件について少し前に TL で話題になって以来気になっていたのですが、先日(2022年4月9日)伊賀鉄道に訪問し、自分の目で確認してきたので報告します。概略は以下の3点となります。
- 2018年夏頃に伊賀鉄道モ202 の VVVF 主制御器が RG636 型 → RG621 型に換装された
- VVVF 装置の大型化に伴い一部機器が移設され、客室内も含めて小改造が施された
- 換装された VVVF 装置は東急時代にデハ1211が搭載していたもの
伊賀鉄道モ200形の VVVF 装置
伊賀鉄道に譲渡された東急1000系グループのうち、2009年〜2010年に導入された最初の4両(モ201〜202、ク101〜102)は東横線1000N系からの改造車で、譲渡に際してデハ1310形の VVVF 装置を RG621 型から RG636 型に換装しています。RG636 型は1000N′系のうちデハ1200形に採用されている 1C4M 専用の小型タイプで、譲渡直後に銘板の製造番号突き合わせも行いましたが、確かにデハ1200形からの流用品であることを確認しています[1]。
RG621 型は制御器の設定を変更することにより 8M 制御、 4M 制御ともに対応していますが、伊賀鉄道では 8M 制御は行われないことから、床下スペースを確保するために 1C4M 専用タイプに置き換えたものと思われます。
2010年〜2012年に導入されたモ203〜205、ク103〜105 は東横線1000系(1006F)からの改造車で、モ200形は3両とも中間車からの先頭化改造が行われています。こちらの VVVF 装置は RG621 型のままですが、整流装置をク100形への搭載とすることでモ200形の床下スペースを確保し、大型 VVVF 装置のまま先頭車化を実現しています[2]。
目撃情報からたどる改造時期の推定
2018年5月3日に「伊賀線まつり2018」が行われましたが、このときモ202 は何らかの事情で運用を離脱しており、 RG636 型のヒートシンクが一部撤去されていたようです[3]。
その後、遅くとも8月には運用復帰していますが、この時点で VVVF 装置が大型タイプに交換されています[4]。
また VVVF 換装と同じタイミングだと思いますが、伊賀神戸方を向いて左側(伊賀神戸駅における近鉄側、東急時代で言う海側)の連結面方台車脇にあった主幹指令器[5]が撤去され、代わりに 100V・24V 蓄電池が置かれました[6]。もともと200形の蓄電池は VVVF 装置の隣に置かれていましたが、大型タイプへの換装に伴いスペースがなくなり移動せざるを得ない事態になったのでしょう。
そして、おそらくこれらに関連したことだと思いますが、客室内の車椅子スペースも改造されて、大きな出っ張りが出現しました[7]。出っ張りの中身は外からはうかがい知れませんが、改造のタイミングと大きさからして蓄電池に場所を追い出された主幹指令器が収まっているのではないかと推測します。
換装された VVVF 装置の出自
モ202 の換装された VVVF 装置の銘板を確認したところ、1989年11月製造の C-894273 でした。これは東急時代にデハ1211 が搭載していた個体です。
一方、モ201 は2022年4月9日現在も RG636 型のままですが、こちらも念のため銘板を確認したところ、2009年の導入直後と変わらず1991年6月製造の C-918705 でした。
まとめると以下の状況となります。
- モ201: 2009年の譲渡改造で RG621 型から RG636 型に換装(東急デハ1214 の機器を流用)
- モ202: 2010年の譲渡改造で RG621 型から RG636 型に換装、2018年に再び RG621 型に換装(東急デハ1211 の機器を流用)
脚注
-
1.
2009年12月21日に書いた記事伊賀鉄道200系の改造点を参照。 ↩ 戻る
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2.
一般的に整流装置は補助電源装置とセットで搭載されることが多く、なぜク101〜102 では整流装置を自車搭載にしなかったのかは気になるところです。 ↩ 戻る
- 3.
- 4.
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5.
運転台のある先頭車に搭載されるもので、マスコン指令を DC に変換する装置。種車である東急1000系グループの先頭車ではブレーキ制御装置と一体になっていますが、受量器を持つ M1c 車(デハ1310形)のみは独立して設置されています。1000系譲渡車では上田電鉄デハ1000形と伊賀鉄道モ200形が同様に独立タイプを床下に搭載しています。 ↩ 戻る
- 6.
- 7.