東急デハ3700形、クハ3750形のKS-33形台車の行方
デハ3100形、サハ3100形に続き、東急の吊り掛け台車の話。デハ3700形、クハ3750形が履いていた住友金属製台車「KS-33形」に焦点を当ててみたいと思います。
形式はKS-33L? KS-33E?
とれいん 2010年1月号の「吊り掛け時代の東急台車カタログ」では、この台車の形式は「KS-33L」とされています。しかし、「東京急行電鉄旅客車一覧表」(鉄道ピクトリアルNo.269・1972年9月号)など「KS-33E」とする文献もあります。
末尾のアルファベットについては、「住友台車の歩んで来た道(第1報)」(住友金属1968年10月号)で次のように解説されています。
東急デハ3700形、クハ3750形は1948(昭和23)年の製造なので、改正前の形式、すなわち「KS-33L」として製作されたのでしょう。社内資料で「KS-33E」となっているのは、メーカー側の形式改称に合わせて後から変更したものと推測します。
東急で使われたKS-33形の行方
KS-33形は吊り掛け時代の代表的な台車の一つであり、銚子電気鉄道では最初期の個体が昨年(2010年)まで活躍していました。製造時期や納入先によってさまざまな形態が存在しましたが、なかでも東急電車が履いていたKS-33形の多くには、枕ばねのオイルダンパ化工事が行われたのは有名な話で、特に「台車のすべて14」(鉄道ピクトリアルNo.106・1960年5月号)や東急碑文谷工場ものがたりでは写真付きの解説までされています。
この台車を装備していたデハ3700形、クハ3750形は名古屋鉄道(名鉄)へ譲渡されて3880系として活躍しましたが、名鉄での廃車後も台車はク2800形やク2780形という車両に転用されたようです。
このうち、ク2780形(3780系)は1996年まで活躍したようですが、廃車後のピク特集の記事にはこうあります。
電動車であるモ3780形の台車が転用されたとの情報が書かれていますが、ク2780形に関しては何も記されていません。
一方、最近(といっても10年以上前ですが)になって大井川鐵道の旅客車のうち、「しらさぎ」のクハ6060形や元・西武電車であるナロ80形、スイテ82形(www.oigawa-railway.co.jp
)の台車がKS-33形に交換されていますが、これがオイルダンパ化された個体なのですよね。
交換時期からしても、名鉄の発生品を流用したように思えるのですが、どうなのでしょうか。